| 譚詩舎通信 No2 |
| Tanshisha 2007年12月5日 |
| 清里の秋 2007.10.25 |
皆様お変わりなくお過ごしでいらっしゃいますか。
譚詩舎は、10月30日に閉館し、来春までの冬季休業に入っております。10月半ばから徐々に色づき始めた林の木々も、末頃には瞬く間に燃え上がるような艶やかな紅葉となり、雪を冠った八ヶ岳を遠景にして、晩秋と初冬の同時の佇まいは、それは見事に美しいものでした。しかしそれもつかの間で、ギャラリーを閉じる頃には、もう散り敷く落ち葉、その上に落葉松林は風が吹くたび、さらさら、さらさらと、雪のように針葉を降り積もらせておりました。もう、暖房なしで過ごすことはできず、ひと足先きの冬の到来です。
8月5日に誕生してから、やっと3ヶ月経ったばかりで冬眠に入ってしまった譚詩舎は、この夏に訪れる機会のなかった方々に惜しまれておりますが、来年は5月はじめの連休から開きます。新緑の頃の透明な季節に、高原と森の林の中での憩いに、そして、詩や画との対話に、鳥たちの囀りの清澄な音楽に耳を傾けにどうぞお出かけ下さい。
今年は短い期間でしたが、多くの方々との出会いがありました。詩人はじめ文学者や画家たちの交流や、音楽家との出会い、夢のような建築を語る方もいらっしゃいました。皆様が、朗読の声を残して下さったり、言葉を書いて下さいましたこと、それぞれに貴重な足跡となりました。本当にありがとうございました。譚詩舎の会会員になって下さったり、微力な働きに、応援のメッセージを下さった方々にも心より感謝申し上げます。
譚詩舎はまだなお未熟な空間ですが、新しい年に向かって努力をしてまいりたいと存じます。
来年度は、謎の挿絵画家、小林かいちの世界展から始まり、夏から秋にかけて、ハインリッヒフォーゲラー展を催す予定で会場を改装中です。また、「立原道造・中原中也・宮澤賢治」に関するシンポジウム、「山村暮鳥」についての講演会、「詩と建築」のワークショップなどの様々な企画を考えております。詳しく日程が決まりましたらまた、お知らせ致します。
リルケとも親交のあった画家ハインリッヒ・フォーゲラーは、後に民芸運動を起こした柳宗悦によって明治時代、雑誌「白樺」にて、はじめて紹介されてから、日本の文学者、画家にも様々な影響を与えました。詩人立原道造は、フォーゲラーのエッチング「春」が載った、たった一枚の雑誌の切り抜きを見ただけでこの画人に深い興味を持ち、「真冬のかたみに」という詩を捧げています。この「春」が、譚詩舎に常設して飾られることになりました。そして、昨年、譚詩舎オープンの少し前に、「ハインリッヒフォーゲラー伝」(鈴木俊訳)と、フォーゲラー自身の詩集「あなたに」(坂本恭子訳)が出版されましたことは、偶然とはいえ、幸運なことでした。また、このたび、上田在住の新進ギターリスト白柳淳が、その題も「真冬のかたみに」として、大変美しくも幻想的な曲を創って譚詩舎に捧げてくれました。フォーゲラーの「春」と立原道造の詩のイメージから紡ぎ出されたものです。その曲をも含むギター演奏会も予定しております。春から秋にかけての清里の森からのやさしい風に乗せて、熱いメッセージをお届けできますことをと願っています。
2007年11月
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